読書と映画、執筆となにか。

なにか書きたくなったら更新されます

2018年12月27日のこと。

旅館 つかさ の一室で6:30起床。

口コミで朝食がおいしいとあったので予約した宿だったが、びっくりするくらいおいしかった。インターネット万歳。

 

仙台8:02発のやまびこ41号に乗車。

新花巻には9:07着。この駅にはまた戻ってくるのでコインロッカーに荷物を預けてもよかったのだが、5分しか余裕がない釜石線への乗り換えに急いだ。

 

新花巻9:12発の快速はまゆりに無事乗車。

遠野には10:01着。コインロッカーに荷物を預けて、今日は一日、遠野巡りの日。

 

駅前の観光センターで地図をもらう。バスで遠くまでいって、戻ってきながら観光しようとすると、歩ける距離じゃないと観光センターのひとに断言される。ところが夏はレンタサイクルで快適に回れるのだそうだ。いいなぁ、夏。冬は路面が凍結して危ないからレンタサイクルはやってないとのこと。世知辛い。

 

2~3時間に一本ペースのバスに乗った。

窓の上半分を隠すように「12/31~1/3は全路線運休します」とのお知らせが揺れている。土休日ダイヤで運行しますではなく運休だ。車を運転できない子どもたちやおじいちゃんおばあちゃんはどうすんだろう。なんも知らないで来てしまった観光客も災難だ。年末年始の予定はアドリブなところが多くて、ネットに頼って観光地回っている者の命取りになりかねない。

 

古民家には興味ないことが最近わかってきたので「遠野ふるさと村」はパス。福泉寺のバス停で降りて福泉寺に参った。

f:id:mizuhoha:20190104214948j:plain

日陰には雪が残っていた。iPhoneでグーグルマップを確認してると指の感覚がなくなるくらい風が冷たい。帽子をかぶり直して、手袋をした。帽子手袋は持って行った方がいいといわれて、素直に従う自分をほめたい。

 

近くのどうってことないお寺などに寄り道しながら、どうってことある観光の名所、伝承園へ。入園料を払うところで甘酒を振る舞っていただいた。甘酒は飲んだことないけど最近お酒飲めるので大丈夫だろうと思って全部飲んだけど大丈夫だった。

「毎日、こんな寒いんですか?」と聞いたら、

「こんなのはまだまだ」と店のひと。「二月はマイナス十五度とかになりますから」

古民家のなかにオシラサマをまつった部屋があった。奇妙な伝承と相まって、土着的な雰囲気にあてられる。結界の外から観光してたのに、急に内側に取り込まれてしまったような感覚があった。

 

常堅寺の奥にある「カッパ淵」へ。シーズンはおそらく春と夏なのだろう。暮れも押し迫ったこの時期はただの水路にすぎなかった。この寒さだ。カッパだって生きてはいけまい。

ここで引き返して、伝承園の隣にある食堂でご飯を食べればよかった。バスまで時間をつぶして、早めに遠野駅まで戻ればよかったのだが、身体は元気だし、来た道を戻るのはあまり好きではないので、地図と相談して、別の名所まで歩くことにした。

 

ABCマートで雪靴を買っておいてよかった。日が当たらないため雪が凍ってガリガリになった農道を歩く。

f:id:mizuhoha:20190104224441j:plain

30分くらいかけてたどり着いた「たかむら水光園」は観光地というより、スーパー銭湯のような施設。サウナもあるというのでさんざん迷ったが、結局、中には入らず、先を急いぐことにした。

昼過ぎに雪に変わるという天気予報をぼくは心配してたが、観光センターのひとはパラつく程度でしょと高をくくっていた。おそらく地元のひとのいうことが正しいのだが、早めに動いておくにこしたことはないだろうと判断した。

 

デンデラ野を目指していたのだが、あたりに観光客はひとりもいない。すぐ前をリスが横切る。「ヒグマに注意!」の看板があるけど、どう注意すればいいのかわからなかった。

かなり歩いて、デンデラ野にたどり着く。親が六十を数えると、子どもが負ぶってここに連れてきた。デンデラ野とはいわゆる姥捨山のことだ。捨てられた老人たちはここで共同生活を営んでいたともいわれている。ひと冬越せるかどうかもわからない寒くて寂しい土地だと思った。 

このあたりから雪がちらつきはじめる。ダンノハナにも足を伸ばした。ダンノハナはデンデラ野で死んだ老人を埋葬した共同墓地とのこと。デンデラ野ほどではないにせよ、ここも寂しい場所だった。

明日香ほどではないせよ、遠野にも似たような異世界感があるのが興味深かった。

 

観光センターでもらった地図を確認する。このあたりで気になる箇所はすべてまわった。17:00発の汽車に乗ろうと引き返すことにした。

バス停を目指して歩き出してすぐに、このペースではバスの時間に間に合わないことを悟る。パラつくだけのはずの雪が次第に本格的に降り出している。

観光センターのひとのいうことはもう信じない!

ということで、駅まで歩くことにした。グーグルマップに経路を表示させると徒歩で一時間半だった。

あまりにも寒いため、雪はアスファルトに振りかけられた白い粉のようになっていて、ひときわ強い風が吹くと、粉は風紋を描いて流れていく。

晴れていればなんでもない道も、横なぐりの雪とあっては、大変な行程となる。雪靴と帽子と手袋がなかったらと思うとぞっとする。

 

すっかり凍えた身体を溶かすべく、途中、「踊鹿温泉 天の湯」というところに寄り道した。温泉に浸かったところで16:30。駅までは徒歩30分。急いでもぎりぎり間に合わないだろう。でも、次の電車は18:50なんだよなぁ……そんなことを考えているうち、温泉を飛び出した。

・大雪で汽車が遅れている。単線なので、待ち合わせの都合でありえないことじゃない。

・途中でバスかタクシーを捕まえられる。

その可能性にかけたのだった。

 

結局、そのどちらもかなわなかった。大雪の中、徒歩で駅に着いたのが17:15。汽車はすでにいった後だった。

1時間半以上待って汽車に乗って、新花巻につくのが19:42。新幹線に乗り換えて新青森につくのが22:00。加えてこの大雪だ。どこかでつまづけば、宿までたどり着けない恐れもあった。

いったいどうしたものだろうと考えていると、遠野駅前を17:30に出る盛岡行きの高速バスがあることを発見する。

荷物を新花巻のコインロッカーに預けないで本当によかった。

ガラガラの高速バスに乗り込んだ。盛岡まで2時間1900円の行程だが、旅の最中なので進んでいるという安心感がなによりありがたい。

 

急遽ググって、こちらで夕食にした。

ぴょんぴょん舎 盛岡駅前店 (ピョンピョンシャ) - 盛岡/冷麺 [食べログ]

雪の中を歩いていたけど、暖かいバス車内ですっかり元気になっていた。冷麺ばかにしてたけど、本場の盛岡冷麺おいしかった。

 

盛岡よりも北にいく新幹線には自由席がない。でも、あいている指定席に座っていいという、よく分からないルールがあることに気がつくまでしばらく時間がかかった。

というわけで、自由席料金で空いている指定席に座って新青森まで。

新青森からひと駅、青森までは在来線なのだけど、新青森から青森までだったら特急の自由席に乗っていいというよく分からないルールがあることに気がつくまでしばらく時間がかかってようやく乗車。同じJR東日本なのに、どうしてSuicaが使えないのかとか、よく分からないことだらけだった。

f:id:mizuhoha:20190104233558j:plain

明るい上に雪の照り返しでポジティブなホーム

青森駅から15分歩いてようやく本日の宿に到着。

ようやくほっと一息つく。荷物を下ろして、まずしたことは湯船に水をためることだった。