7:00起床。
もれなく朝食がついてくるホテルだった。
一階のビッフェに降りると、ひと通りのものが揃っていた。朝食といってもバイキング形式のあれだ。アメリカの刑務所みたいな感じのヤツだ。
和食中心でおかずを選んだ。以前はこういうとき、かなりの量を食べてしまって、昼食や夕食に影響が出てしまうことが多かった。最近はそんな愚を犯さない。おいしくないものでお腹いっぱいにするのは愚かなことだし、おいしいものでもお腹いっぱいにはしないようになってしまった。ようするに年くったわけだ。
広島駅から呉線に乗る。通勤ラッシュの時間帯と思ったがひとは少ない。ねんのため曜日を確認すると土曜日だった。土曜日だからひとが少ないのか、年末だからひとが少ないのか判断はつかない。おそらくそのどっちもだ。瀬戸内沿いに栄えた一帯を電車は進んでいく。小一時間かけて、呉駅に着いた。
JRレンタカーでレンタル自転車を借りた。電動じゃないヤツで350円。
荷物は前の籠に入れとけばいいわけで、1回300円するコインロッカー代を、自転車のレンタル料金に回せる。
そしてなにより、自転車とグーグルマップは相性が良すぎる。それに尽きる。
レンタル自転車あるんなら、とりあえず借りとこうかくらいに考えるようになってしまったのが、今回の旅のいちばんの収穫かもしれない。
残りの旅程はわずかだけど、洗濯をする必要があったので、まずはコインランドリーへ。ナビゲーターはもちろんグーグルマップさんだ。駅の近くに築浅きれいめなコインランドリーがあった。
いちばん小さい洗濯機を回してから、呉の観光を開始。かつては市電が走っていた町で道が広い。繁華街はれんが通りというらしい。栄えているかどうかのバロメーター、パチンコ屋さんがあちこちにあった。
このお店の列に並んだ。
福住 フライケーキ (ふくずみ) - 呉/スイーツ(その他) [食べログ]
一個80円か。揚げている様子を眺めながら2個……いや、3個かな。などと思っていると、前のかたは25個頼んでいた。揚げるおばちゃん、包むおばちゃんなど、役割分担は完璧だ。すぐに順番が回ってくる。
油のしみた紙袋からひとつつまんで、熱いうちに口に運ぶ。半端じゃなくおいしかった。思えば出発から一週間だ。いいかげん疲れているのだろう。身体が甘いものを欲している。
洗濯が終わるタイミングでコインランドリーに戻った。洗濯物を乾燥機に移し替えて、再度観光へ。
「この世界の片隅に」に登場した遊郭(のあった場所)を探した。
樋口一葉のたけくらべよろしく、川が流れていて、一般生活との境界をかねた橋がかかっている。長崎の思案橋もこのたぐいだ。そのほか、交番がある。美容店、甘味屋、仕出しやがあるなどが、もと遊郭街の特徴なのかな。
現在進行形で栄えている町なので、そのような名残がほとんどなかった。
30分後、コインランドリーに戻ると、おれの洗濯物は籠によけられていた。いつの間にか店は混雑していて、洗濯機・乾燥機が全台稼働中だ。年末だから混んでるのか、週末だから混んでるのかわからない。
呉は細うどんなるものが名物なのだそうだ。
お昼はここでいただいた。観光者相手のお店ではなく、あくまで地元の食堂。おいしかった。
食後、サイクリングを再開。
マンガと映画で大ヒットした「海猿」の聖地にもなっているようだ。呉は思っていた以上に、海上自衛隊感が強かった。
海上自衛隊呉資料館は残念ながら休館日。
大和ミュージアム http://yamato-museum.com/
こちらは開館中で、大盛況だった。
10分の1戦艦ヤマトを始め、零戦や回天の実物大があった。
正式名称である「呉市海事博物館」の名にふさわしく展示物充実なのだが、ひと多いせいかお祭りのような賑やかさがあった。\事実、戦艦は勇壮でかっこいいものだが、高価な一眼カメラを、模型に向けているオタクの親子などを見ていると、複雑な思いに駆られてしまう。知覧特攻平和会館とは真逆のベクトルだった。
呉線に戻って、旅を進める。
次の途中下車は竹原。
駅前アーケード街がシャッター通りになっている。無人の町に、童謡みたいな音楽が流れていて終末感が半端ない。世界が終わる日のリハーサルみたいな風景。どこからともなく「遠き山に日は落ちて」が聞こえてくるのだ。怖いけど、味わい深い。
15分くらい歩いて、竹原の美観地区へ。
趣きある町並みがそこにあるよ。瀬戸内の港町・竹原を散策しよう。 | キナリノ
ほんとにこんな感じだった。
広くはないので、一時間前後で回れてしまった。
次は尾道で夕食のつもりだったが、電車の乗り継ぎが悪いので、三原で降りることにした。
小学六年生の頃、三原から水中翼船で松山に行った記憶があったので、なにか覚えていたりしないかと、フェリー乗り場まで足を運んだのだが、結果、なにも思い出すものはなかった。
ググると「水中翼船」は、もう日本にないとのことだ。フェリーと比べ、三倍のスピードだったらしい。残念なことだ。
尾道到着が17:00過ぎになってしまった。
年末営業で尾道帆布店はシャッターを閉めたところ、朱華園はスープがなくなったところ、温泉サウナにいたっては、サウナが壊れていた。尾道で途中下車した目的が、すべてダメになってしまって、かえってすがすがしい。
少しでもおいしい尾道ラーメンをというわけで、異様に暗いアーケード街をググりながら歩いた。
というわけで、こちらで夕食。無事、おいしくてよかった。
福山に着いたのが20:00頃。
ホテルに荷物を置いて買い出しにでた。ついでに駅周辺を散策。
サントークはいまや「さんすて」で、トモテツセブン→キャスパは廃ビルとなっていた。駅前の一等地に廃ビルが放置されているのは珍しい。
ビールとほろよい、サヨリを焼いたもの。いまでは西日本でしか買えないカールを買って、ホテルに戻った。
酔っぱらうと気道が塞がってきて、呼吸が苦しくなる。喘息用の気管支拡張薬を吸入すると少し楽になるんだけど、はたして、そこまでしてアルコールを摂取する必要はあるんだろうかといつも疑問だ。
テレビを見たりして過ごした。
24:00過ぎに就寝。