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2017年12月26日のこと。

フラットシートの区画で5:00に起床。

充電の終わっていたスマホをポッケにしまい朝まだきの天文館へ。

コンビニのトラック運転手が小走りになって荷下ろしをしているのを横目に鹿児島中央駅へてくてく歩く。歩道にやたら銅像がある町だ。

ロッカーに預けていた荷物を出して、岡山までの切符を使用開始。切符の有効期限は六日間。その間、途中下車を繰り返しながら観光するという手はず。引き返すことは許されないが、進む分には何度だって途中下車できる。

5:59発の特急「きりしま2号」で宮崎。全然混んでなかった。自由席にしておいてよかった。宮崎からは各駅停車で延岡。こちらも余裕で座れた。延岡で最初の途中下車。

 

この旅のメインイベントである高千穂へ向かう日だ。高千穂はとにかくアクセスが悪い。熊本・熊本空港から高速バス、もしくは延岡から路線バスのふた通りしかないのだった。

時間があったので、延岡のアーケード街をさまよい歩いた。少しさびれていていい感じだ。近くにあった今山八幡宮にお参りした。朝飯はセブンでおにぎり。

 

地元の路線バスに乗って一路、高千穂へ。昨日とは打って変わって晴れており、渓谷がよく見えるであろう左側の車窓は眺めがよさそうだ。カップルが指さしたりしていて楽しそう。おれが座った右側の座席からは岩肌もしくは、田畑がよく見えた。帰りは渓谷が見える側に座ろう。

バスを利用する地元のかたがたは、ご高齢の方が多い。背中が曲がっていて、頭に手ぬぐいをした東京では見ないタイプの老婆がデフォルトだ。農業をされてるとこんな感じになるのかもしれない。でこぼこ道を猛スピードで飛ばして一時間半。バスがようやく高千穂へ着いた。

 

高千穂バスセンターのコインロッカーに荷物を預け、ここで昼食。

天庵 - 高千穂/そば [食べログ]

ネットは便利だね。すごいうまいそばだったよ。

 

食べ終わってすぐ、レンタル電動自転車を借りた。口べたな高校生のアルバイト女子が使い方を説明してくれる。おれも口べたのなので、なんか変な感じになった。

高千穂に向かおうときっかけがこの電動自転車だ。高千穂バスセンターを起点とした路線バスは出ているのだけど、本数が少なくて自由に回れない。かといって貸し切りタクシーは気楽なひとりたびにはいちばん不向きな手段だといえる。運転手の当たり外れが激しいからだ。

その点、レンタル自転車はとにかく気軽だ。昨年末の四万十川のレンタルサイクル川下りが良かったということもあった。

 

電動アシスト機能つき自転車に乗るのははじめてだったけど、うまく漕ぐことができた。片っぱしから回るつもりで、まずはこちらへ。

二上神社 | 観光スポット | 高千穂町観光協会 | 宮崎県 高千穂の観光・宿泊・イベント情報

サイトには迂回路のことが書いてあるけど、観光案内所でもらえるパンフにはそんなこと書いてなかった。

自転車を停めて少し考える。そうか、ダメなのか。熊本地震と台風の影響から、まだ復旧していない道がそこここにある。山道っぽいけど、がんばるか! 向こう側からタクシーが来て、小太りの運転手から「がんばってぇ」なんて声をかけられる。いったい、おれをいくつだと思っているのか。

 

電動自転車ではなく、あくまで電動「アシスト機能つき」自転車なのだ。結局は漕がなきゃならんのだった。2キロくらいえんえん坂を登った。途中からはサドルから降りて自転車を押した。結局、あきらめた。だって、グーグルマップみたらその先にまだ4キロぐらいあるんだもん。残り1キロならがんばったけど、4キロはダメだ。

こういうときおれは次来たときにしようと、前向きに考えるようにしている。もう二度と来ないであろうとは考えない。生きているうちにぜんぶは無理なのだ。人生とはたぶんそういうことだ。

 

くだりはあっという間で、10分もかからず元の道へ。

パンフを広げ、次は国見ヶ丘にしようとハンドルをきった。ところがこっちもきつい登りだ。呼吸にラッセル音(喘息っぽいあれ)を混ぜつつ30分くらい漕ぐと、充電メモリがひとつ減った。残りあとみっつ。そう思っていると、いきなり充電切れ間近を示す点滅が始まった。

このバッテリー、もしかしてヘタッてる?

しかたなく自転車を押して登った。一時間くらいかかって、ようやく国見ヶ丘へ。国見ヶ丘はいうまでもないニニギニミコトが地上に降臨したところだ。アマテレズオオミカカミの孫、ニニギノミコつまり天孫が降臨したその場所だ。

 

山頂なので風が強かった。高千穂の町に雲のかげがかかっている。遠くの山並みも一望できた。国見ヶ丘は来たかった場所なので、とても満足だ。

 

例によって帰りはあっという間。

ほかを見て回る時間はなさそうなので高千穂駅跡に寄った。十年ほど前の水害で鉄橋が流されて以降、そのまま廃線になってしまった高千穂鉄道の始発駅だ。現在でもトロッコ電車を運行しているようだが、1300円というのでやめておいた。

レンタル自転車を返す際、バッテリーへたってると文句をいおうか迷ったがやめておいた。口べたなので。

 

16:30高千穂バスセンターに宿の車が迎えに来てくれる。

同乗者の到着が遅れて16:45に宿に向けて出発。

荷を解き18:00から食事。じゃらんで見繕って、食事がすごいというからポチッた宿だったが、ほんとうにその通りで、食事がめちゃおいしい。自家栽培のお野菜、雑穀米のおにぎり。鹿の肉ははじめて食べた。

 

19:30夜神楽をやってる高千穂神社へ車でつれてってくれる。

高千穂には夜神楽というものがあって、地区ごとに持ち回りで33幕を12時間かけて上演している。ラストはアマテラスが天の岩戸から出てくるところ。それを日の出とシンクロさせるという、とんでもない代物を千年以上続けているのだそうだ。

高千穂神社で行われているのは、全33幕からよりぬいた4幕。それを観光向けに上演してくれている。それも毎晩というのだから、この観光地のホスピタリティは高い。高すぎる。f:id:mizuhoha:20180109004125j:plain

時期が時期だけに、見るひと少ないんじゃないかと思っていたら、結局、百人くらい集まっていた。宿のひと曰く、ゴールデンウィークは立ち見になるそうだ。日本で唯一、客いじりのある神楽で、見事にいじられるおれ。なんかいいことあるかもしれない。

 

20:00からはじまった夜神楽は21:00に終演。その後は、宿の車で高千穂温泉へ。閉館間際の温泉はひとがいなくって天国だった。食事はおいしいし、夜神楽は面白いし、ほんと至れり尽くせり。

 

荷物のあらかたをコインロッカーに預けたまんまなので、あまりやることがない。テレビを見たりして、23:00頃、就寝。